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​ご挨拶

 現在、日本の多くの地域で里山の放置竹林が拡大し、景観の劣化、耕作地への侵害、猪等の獣害誘因など社会問題となっています。かつて日常生活でみられたタケノコ採取や、農漁業資材・住宅資材としての循環的な竹材利用はなくなり、竹林に人の手が入らず里山環境の悪化が進んでいます。これは、自然と共生してきた私たちの暮らしのバランスが崩れたことに他なりません。このような状況から、現代社会における竹材の用途開拓として、セルフビルドの竹構造農業用ハウスを建設試行したのがバンブーグリーンハウスプロジェクトのはじまりです。

 バンブーグリーンハウスのわかりやすい構造と、のせる、あわせる、くくる、といったシンプルな接合方法は、特殊な技術・部材が要らず誰でもつくることができ、十分な栽培空間を確保します。この特性を活かして、地域の人々が竹林から資材を調達し、自らの手で農業用ハウス建設に取り組めば、里山環境の保全と農作物の新たな取り組みという地域のつながりをより深めることができます。

 このアイデアとデザインが評価され、バンブーグリーンハウスは2009年度のグッドデザイン・サスティナブルデザイン賞(経済産業大臣賞)を受賞しました。受賞の意味はおそらく、私たちの暮らしの価値観をまさに考え直す時期に来ていることを示唆しているように思います。

 バンブーグリーンハウスは、これまで改良を重ねながらタイプ1〜4まで試行してきました。現行のタイプ4では、おおよそ合理的な栽培空間を実現しています。私たちの活動は、その建設プロセスの詳細情報を提供することで、様々な地域で参照され循環的な地域資源利用と持続的な地域社会の創生につながることを期待しています。

 

活動主体(本サイト運営者)

NPO法人FuDO

​ 小林広英(京都大学大学院・地球環境学堂・人間環境設計論分野・教授)

 宮地茉莉(関西大学・環境都市工学部・建築学科・助教)

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